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結果
自覚的改善のあった症例、なかった症例、継続できなかった症例を提示する。
〔症例1〕(図1)
47歳女性。2年前に両側乳癌切除術を受ける。入院1か月前より胸水、および腹水が増強する。入院時、酸素毎分5lで酸素飽和度は90〜93%、呼吸数24回/分、腹囲91cm。胸部X線で肺内は両側に胸膜炎、気管支炎、下葉の線維化と中葉にかけてリンパ管症があった。自覚症状の前景は呼吸困難であったが経口モルヒネ60mg/日にて苦痛は中等度で持続してはなかった。一人で室内トイレヘ行き車椅子散歩をしたり、また食事は全粥半量食を見晴らしのよい食堂へ出かけてとることもできた。第2病日からモルヒネ吸入5mg2回/日を開始したが希望により朝1回だけのことも多かった。直後から「楽になる」と言われ、眠ったり安楽椅子で過ごすことができた。
第11病日までその治療を維持していたが呼吸困難の増強のためモルヒネは持続皮下注に変え吸入は中止した。腹腔内臓器浸潤とエコーで7cm深の大量腹水とリンパ浮腫が呼吸困難に影響したと考える。第12病日の腹水穿刺後のホスピス納涼会では家族と焼きそばを味わえた。その後呼吸数は6回程度で呼吸苦はセデーションされ穏やかに「食べたし眠ったし」「ありがとう」と言い永眠された。

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図1

 

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図2

 

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図3

 

〔症例2〕(図2)
45歳男性。5年前に膀胱癌摘出術を受ける。1年前に肺転移。入院時、酸素毎分5lで酸素飽和度90〜98%、呼吸数20〜40回/分。胸部X線所見

 

 

 

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